筋膜について③
筋膜治療によって起こる体の反応についてのまとめです。
筋膜治療の目的としては
ヒアルロン酸の粘性を戻してベトベトになっているものをスベスベにする事が目的になります
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それには温度の関係が重要で34°~40°程度でゲル状からゾル状になると言われています
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実際には熱のみでは深筋膜の滑走性は改善しないとの報告があり、滑走性を改善するためには刺激が必要(摩擦刺激)になります
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摩擦(刺激+熱)を加えることによって、ベトベトなヒアルロン酸によって癒着していた組織を剥がす事ができて、ゾル状のヒアルロン酸になります
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摩擦の熱が発生するのは約3分といわれているので、3分程度刺激を加えます。深筋膜は3層構造(縦横斜)なのでいろいろな方向に動かすようにします
↓
摩擦の熱が発生しているので炎症反応が起きます。約2~3日で治るが、患者には伝えておく必要があります。
筋膜の施術によって起こる身体の変化になります。
実際に筋膜の施術を行うには、この知識を知った上で筋膜のラインなどを勉強して現場に活かすということになります。
筋膜には受容器がたくさんあるので、外傷をみる機会が多い、セラピストには必須の知識かなと思いました。
ではまた。
筋膜について② 解剖、生理学
筋膜について②
まず深筋膜には受容器が多いです
1. 筋受容器
①筋紡錘 筋周膜に存在しています
筋を収縮させる入力出したり、筋が伸びすぎないようにしている受容器です。
ex)重いものを急に手にのせると、肘が伸びきらないように筋を収縮させるなど
そして筋外膜が硬いと筋紡錘が伸長されないので、筋がうまく収縮できない
→ 筋力低下、運動制限
もしくは1a求心性線維は感受性が高いので、筋周膜が少しでも硬いと1a求心性線維が異常に反応
→筋紡錘に異常な感覚→関節不安定
②ゴルジ腱器官 張力
③パチニ小体 張力
④自由神経終末 張力
☆筋膜は筋の10倍侵害受容器があると言われているそうです。
解剖の付け足しをすると
筋膜の層にはヒアルロン酸があり、層の滑走性を高めています。
腱膜筋膜との間
深筋膜との間
深筋膜と筋肉との間
がヒアルロン酸で満たされています。
ヒアルロン酸は本来すべすべですが様々な理由で異常が生じることがあります。
①損傷した骨格筋は1~2日でヒアルロン酸含有量上昇(ラット研究)
②固定1週間でヒアルロン酸濃度が上昇
③PHの低下が起こると粘性が20%増える
(運動は筋のPHを低下させる overuseが原因)
ヒアルロン酸の濃度が上がると粘性が増える
(水のりのような状態 ベトベト)
→ コラーゲン繊維の層の滑走が障害
滑らかに筋膜が滑る事ができなくなる為、受容器(自由神経終末など)を過度に刺激、牽引し痛みが出現すると言われているそうです。
まとめると
使いすぎなどによりヒアルロン酸がゾル状→ゲル状になり、ベトベトな状態となるので滑走がうまくいかなくなる。そして、受容器を過度に刺激やうまく伸張されない結果、痛みや筋の収縮がうまくできず、疼痛、関節の不安定性が出るそうです。
なので、例えば、
足関節外側靭帯損傷で3週間程度固定をしていました。リハビリをしましたが、関節の不安定が残り痛みが残っています、、
みたいな患者って結構多いですよね
、
そこで、筋膜にアプローチすることによって、受容器のシステムも正常になり、筋出力も正常になり関節の安定性も出て、痛みも軽減されることが自分の感覚ではありますが実感してました。
次も筋膜について書いていければ思います。
ではまた。
参考文献
筋膜整体マニュアル(青山筋膜整体様)
筋膜について 解剖①
筋膜についてですが、まず筋膜には種類があります。
①筋内膜
②筋周膜
③筋外膜
④深筋膜
⑤浅筋膜
そして皮下組織、真皮、皮膚と続く
次に筋膜自体の構造です
基質
→ コラーゲン
(伸縮性乏しく 革のベルトのようなもの)
→ エラスチン
(伸縮性があり筋肉の収縮に合わせて伸縮 セラバンドのようなもの)
水分 60%~70%
線維
細胞
次に真皮~皮下組織~浅筋膜~深筋膜までの部分の解剖です。
まず
①真皮と浅筋膜の間(垂直の皮膚支帯)
②浅筋膜と深筋膜の間(斜めの皮膚支帯)
には皮膚支帯があり、真皮と浅筋膜の間の皮膚支帯は垂直皮膚支帯といい可動性が少なくて、浅筋膜と深筋膜の間の皮膚支帯は斜走する皮膚支帯があり可動性が大きいという特徴があります。
皮膚支帯について詳しくですが、
<垂直の皮膚支帯>
→ 可動性少なく、垂直の皮膚支帯の間には神経や血管やリンパ管が通過している
<斜めの皮膚支帯>
→①皮膚が外部から刺激されても深筋膜にある受容器を過度に刺激しない
(可動性が大きい(柔軟性がある)ことによって引っ張る力が弱くなる)
→②筋肉が収縮しても皮膚の下で筋が動く事が出来るため、皮膚が突っ張らない
斜めの皮膚支帯の間にも神経や血管が通過している
ということで
臨床的な話です。
神経は深筋膜の間を通って表層に出てくるので、深筋膜での神経絞扼が起こる可能性もあるとのことでした(デルマトームと一致しない痺れの際には筋膜による絞扼も考える必要あり)
施術の際に重要なのが深筋膜と言われており、
そして深筋膜は筋外膜と腱膜筋膜に分けられる
1 筋外膜 (ソーセージの皮)
個々の筋肉を分ける
2 腱膜筋膜 (ソーセージを包む真空パックの袋) → 四肢の深筋膜 胸腰筋膜
腱膜筋膜によって個々の筋が一緒に包まれる。
※筋膜展開について
全ての筋は筋膜に挿入している
筋が収縮すると筋膜も伸長される
深筋膜の重要点
①全ての筋を包んで、隣接部位へ力を伝達する
②3層構造で上層は全身へ、下層は筋へ連結
3層構造は縦:横:斜である
筋膜の解剖でした。次回も筋膜について書いて行きたいと思います。
参考資料
筋膜整体マニュアル(青山筋膜整体様)
筋膜についての前段
筋膜についてになりますが今日は前段ということで書いていきます。
実は私は筋膜について勉強したのは最近の話で、それまではいわゆる筋に対してアプローチをしていました。
ただその筋施術だけだと、患者はその日はある程度良くなるか、若しくはあまり変わらないこともありました。そして何か別の問題があるのではないかと思い、施術法を模索していました。そしてたくさんの本を手にとる中で、理学療法士さんの動画や書籍をみることが多くなりました。そして思ったのはやはり痛みの捉え方というか、施術に対する考え方、治し方が違うなと感じました。(私の施術と比べて)
理学療法士はやはり局所というよりは全身にアプローチをしている方が多い印象で(首が痛い → 姿勢や重心に対してなど)今まであまりそのような見方をしてない私にとってはかなり勉強になりました。
ただ、理学療法士の知り合いがいない私は、書籍や動画などで知識を得るしかありませんでした。
色々みて思ったのは、施術の方法がわかっていても実際に適応の病態に施術を落とし込めないとあまり成果が出ないということで、病院時代に恩師の先生達から言われた意味が身に染みてその時思いました。病態把握が大事だと。
ただ、病院で勤務していたこともあってか、病態把握の能力はある程度身についていたので、書籍の内容を理解するのはそんなに難しくありませんでした。
そしてたくさんの徒手療法があるなかで、実際患者に対して行ってみて効果があると感じた、
骨格に対する施術(マリガンなど)
筋膜に対する施術をメインで行うことにしました。
もちろん病態に応じて適した施術方法がある場合はそちらを選択しますが、、、
ex)IPF痛 TPSなど
ただ、そうしたことで患者の満足度は高くなり、成果を上げることができていると実感しているのは事実ですし、特に他の治療院で改善しなかった患者に対しては良くなる可能性が高いと感じています。(多くの治療院は局所的な治療がメインになっている(自分もそうでした。) → 変化なし、その時良くなっても戻る → 考えとしては、結果としてそこに痛みが出ていて、原因の治療が出来てない → 原因を見つけてあげて施術することで結果の痛みを出さないようにする。
ex)筋膜にはつながっているライン があるので、首が痛い 過去の足関節捻挫により筋膜の癒着があり、首の施術と合わせて足関節の施術したところ、首の痛みが長期的に改善)
ただ筋膜はなかなか難しい分野で教科書や文献をみても頭に入って来ないという方も多いと思います。
私もその1人でしたし、まだ完全には理解してないところもありますが、自分の知識をアウトプットしていければと思います。
ということで来週書きます!
ではまた。
椎間関節性腰痛②
では今回は治療についてです。
こちらもまず疼痛を軽減、消失させる手技がマリガンになります。
棘突起に手掌を当て、後屈をしてもらいます。その際に疼痛が消失すれば成功です。
それを15回程度繰り返します。
マリガンの手技は痛みが出ないことが前提の手技になりますので、疼痛が出ているということはポイントが違うということになりますので注意です。
なぜ疼痛が消失するのか
これは棘突起に手掌を当てて、後屈した際に椎間関節が拡大します。
本来関節面がインピンジしていたところの位置を正しい位置に戻すようなイメージです。
そして何より、これが椎間関節痛なのかと微妙な時にマリガンを行って疼痛が消失すれば、椎間関節痛と自分の中でジャッジが可能だと思いますので便利な徒手療法だと思います。
マリガン後、疼痛が無い状態でテーピングやベルトを使用するとかなり効果がありました。
あとは私は腰椎骨盤リズムに注目したり、骨盤の動きが筋などによって止められている場合などは、緊張している筋や癒着を起こしている筋膜にアプローチしてます。
次回は筋膜について書きたいと思います。
ではまた。
参考文献
マリガンマニュアルセラピー
椎間関節性腰痛
本日は腰椎椎間関節性腰痛について書いていきます。
まず椎間関節の機能解剖ですが
①過剰な椎間の動きを制御
腰椎の全圧縮荷重の18%を受けるとされる。
前屈、後屈の状態により全荷重の0〜33%に変化
回旋荷重に対しては椎間関節(2つ)が約40%の荷重を分担との記載があります。
②神経支配
腰神経後枝内側枝(1つレベルと当該椎間レベル)
例)L4.5椎間関節の神経支配は、L3、L4の腰神経後枝内側枝
③椎間関節の構造物(半月板様)
楔状に肥厚した関節包、上部、下部に突出した滑膜ヒダがある
上腹側、下背側の滑膜ヒダ(脂肪、血管含む)
『腰椎椎間関節関節障害より』
また一般的に椎間関節痛は後屈での痛みを呈しますが、椎間関節の運動抑制には椎間板の最外層の線維輪が担っているため、
椎間板の変性 → 関節の遊びが大きくなる
→ 椎間関節に荷重を受けやすくなる
更に椎間関節については
①椎間関節は軸方向の荷重を受ける
②腰椎後屈時は軸方向荷重の平均16%の荷重を受けるが、脊椎変性があると70%程の荷重を受ける
③椎間関節は滑膜関節であるため、メカノレセプター(機械的な刺激を感知)や侵害受容器(痛みを感知や効果器の役割)が存在しており、正常可動域を超えるストレスが関節にかかると関節損傷に対する警告信号を発生させる。
椎間関節痛となる病態
①機械的ストレス
②外傷後の微小関節内骨折
③関節症性変化
④meniscoid(半月板様)の陥屯
⑤関節滑膜の炎症、嚢胞
『腰椎椎間関節由来の腰痛の病態と治療』より
という事で疼痛のメカニズムの一部を論文からご紹介しました。
椎間板の受けるはずの荷重のストレスを、椎間板が変性したことによって椎間関節がストレスを受け痛みが発生することが多い様です。
更に椎間関節と脊柱起立筋は同じ脊髄神経後枝の支配を受けるため、起立筋に疼痛があるように感じたり、患者自身がピンポイントではなく、エリアで痛みを訴えてくるケースも多い様でした。
次回に続きます。ではまた。
椎間板腰痛②
今日は椎間板性腰痛に対するマリガンコンセプトについて書いていければと思います。
マリガンとはなにかというと、
ニュージーランドの理学療法士のマリガン先生があみだした徒手療法で、様々な手技がありますが特に私が良く使用しているのは、患者の自動の動きのなかでアシストしながら行う椎間関節のモビライゼーションになります。
これを、マリガンコンセプトでいうNAGS(椎間関節自然滑走法)で中間域から最終域の椎間関節のモビライゼーションで、椎間関節のモビライゼーションを目的としていますが、非常に椎間板性腰痛にも効果的な手技になります。
まず、疼痛が見られた棘突起(写真ではL4)に手掌をあて痛い動作(写真では前屈)をしていただきます。
その際に棘突起を上方に押し上げるイメージで軽く触れておきます。
その際に疼痛が消失すれば、その動作を10回程度繰り返します。この際には、痛みが出ないことが重要です。痛みが出ればその棘突起ではないということでした。
疼痛消失のメカニズムですが、マリガンのマニュアルセラピーでは
椎間関節の可動域低下があると、屈曲した時に椎体は前方で接近するが後方では離れなくなる。
後方に膨張し症状を起こす原因となる
と記載があります。
またこれは私見ですが、
写真のように棘突起を上方に押し上げると椎間板の前方を下方に圧力を加えるはずの椎体がロックされるので、椎間板の除圧にも関係しているのかなということも思いました。
「前屈時のマリガンによる除圧の仕方」
少なくとも、私の実感としては、椎間板性腰痛の患者に行った場合、ほぼ痛みを消失させることができます。
そして、それを維持させるように筋、筋膜のアプローチなどをしていきます。
何よりも大事なのは、自分のなかで、この痛みは何による痛みなのかジャッジを出来ることが前提の話になりますので、たくさん症例をみましょう。
次は椎間関節による痛みについて解説出来ればと思います。
ではまた。
参考文献
マリガンのマニュアルセラピー