筋膜性疼痛症候群 MPS について

お疲れ様です。kiteibuです。

 

筋膜性疼痛症候群 MPS のことをご存知でしょうか?

 

聞き慣れない方もいると思いますので、解説していきたいと思います。

なお、参考文献は臨床スポーツ医学2018年5月号筋膜への徒手医学療法とアスリートへのアプローチ 

から引用しております。

 

 

骨格筋の痛みは1カ所から始まり、時間と共に広がりその強さは作業により増悪する。

症状 筋の膨隆 皮膚の過敏性 筋の圧痛があり、

またトリガーポイント(TP)が発生すると、筋は硬く、弱くなる。

筋線維内にできた硬結部は付着部を緊張させ、しばしば近くの関節に症状が現れる。

 

周囲の循環を悪くして代謝作用による副作用の蓄積、代謝に必要な酸素や栄養源の欠乏などによって、TPは数ヶ月あるいは数年も存在し続ける。この持続性悪循環を断ち切ることが必要である。


それら筋・筋膜の機能障害が起こす様々な症状は総称してMPSと呼ばれる

 

とあります。

 

ざっくり言うと筋膜や結合組織の異常があった結果、痛みや痺れが引き起こされる疾患だということでした。

 

例えば、急激に重いものを持った際に筋肉に負荷をかけると当然筋膜にも負荷がかかります。

その際に筋膜を損傷した場合、大抵は数日で回復しますが、この数日間に繰り返しの負荷や不良姿勢などがあると回復できず、血行不良となり、TPを形成し、定着するといったところでしょうか。

 

次は病態です


<MPSの病態>

正常な筋は呼吸や自動運動によって収縮と弛緩を繰り返し、そのポンプ作用で自身の筋組織だけではなく周囲組織(血管、神経、リンパ、内臓など)への循環を補助する。

筋の持続的な緊張状態や不動、長時間の阻血は筋組織、神経組織内の酸欠と代謝障害を生み、機能不全を惹起すると考えられる。


また毎日の不良姿勢と繰り返し動作による筋疲労

自己筋力を上回る過負荷、不活発、廃用、患部の固定、長時間の阻血などにより筋はTPを形成する。

 


TP内のサルコメアに収縮部位があるとそこで血流が止まるその結果酸素不足が起こって老廃物が蓄積する。

 

結構難しい話になってきましたが
原因として

①筋収縮による動脈圧迫による酸欠

②静脈の圧迫による代謝産物の蓄積による悪循環

 

のようです。

 


また正常筋組織では

ミオシン・アクチン連絡橋を壊す際、筋節収縮が完了した際に筋小胞体がカルシウムイオンを再吸収する際にATP分子からエネルギー供給を必要とする。


ATPは酸化リン酸化でADPから産生されるため、組織が酸欠状態であればATPが産生されずミオシン・アクチン連絡橋が壊されないため筋は収縮したままとなり、更に動脈血流を遮断して虚血が悪循環に陥る。


筋内部の動脈だけでなくTPを形成した筋は短縮し膨隆するため周囲組織を圧迫して血流を低下させる。

 


まとめですが、

 

筋収縮により静脈血管も遮断される

酸性の代謝廃棄物が排出されず疼痛が生じる

さらなる攣縮を引き起こし、虚血が増大しTPが定着

 


持続的な筋収縮は骨を介して連結する筋や拮抗筋の緊張も引き起こすので、同時に筋膜に伸びる筋線維を通して筋膜の緊張を生み筋膜配列に従って緊張が広範囲に伝播するといったことも記載がありました。

 

例で挙げると、筋腹にTPが定着すると付着部を牽引したり、筋膜を牽引する原因にもなります。

筋膜は筋膜配列といって繋がりがあるものなので、そこのTPが原因で一見関係のない部位に障害が起こることもあるという話でした。

そしてそういう例は結構多いそうです。

 

 

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TPを形成した筋に徒手的な圧迫と解放を繰り返すことは、うっ血した静脈血を押し出し、動脈血が流入することで筋の酸欠状態を改善させている。

筋外膜へのfascial release は単に神経自体の圧迫を解除しているだけではなく、神経の血管の圧迫解除による神経組織の酸素化改善が神経機能の回復に結びついている。

 

とのことでした。

 

参考になれば幸いです。

 

来週もまたやります。

 

ではまた。