胸郭出口症候群
お疲れ様です。kiteibuです。
先週の続きで胸郭出口症候群です。
では、イカリ肩となで肩の特徴です。
①イカリ肩(圧迫力)→ 斜角筋症候群多い
鎖骨 挙上
肩甲骨 上方回旋 内転位
胸椎 伸展
肋骨 挙上位
になります。
重力によって、上肢と肩甲帯が下がるのに拮抗して頸部の筋が過剰に緊張している状態ですね。
頸部周囲筋(斜角筋など)が過剰に収縮して、斜角筋隙が狭くなることで発症するので、
斜角筋のリラクゼーション
が最低限必要ですね。
②なで肩(牽引力)→ 肋鎖症候群、過外転症候群多い
鎖骨 下制
肩甲骨 下方回旋、外転位
胸椎 屈曲
肋骨 下制
重力に負け、上肢と肩甲帯が引き下げられている状態です。
鎖骨の下制 → 肋鎖症候群
肩甲骨の下方回旋、外転位 → 過外転症候群
肩甲骨の下方回旋、外転位が定着すると、小胸筋の柔軟性が低下するので、過外転症候群になりやすくなるんですね。
なで肩タイプは筋力がなく、重力に負けているので
① 僧帽筋(上方回旋、鎖骨挙上)
②菱形筋(内転位)
の筋力強化と
①小胸筋のリラクゼーション
を行う必要がありますね。
真逆の不良姿勢なんですけど、どちらも胸郭出口症候群になる。ただ、ジャッジを間違えると効果出ないってことなので、どちらなのかスペシャルテストを行いしっかり見極められるようになりましょう。
ではまた。
胸郭出口症候群
最近見る機会が多いので、、
胸郭出口症候群は施術がハマれば、一回で結構改善する印象でしたので見方などアウトプット出来ればと思います。
まず
腕神経叢と鎖骨下動脈は
①前斜角筋と中斜角筋の間(斜角筋症候群)
②肋骨と鎖骨の間(肋鎖症候群)
③小胸筋下層(過外転症候群)
を走行するが、それぞれの部位で絞扼を受ける可能性がある。これらをまとめて胸郭出口症候群と総称する。
標準整形外科より
一応画像も載せておきます。
①前斜角筋と中斜角筋の間(斜角筋症候群)
②鎖骨と肋骨の間(肋鎖症候群)
③小胸筋下層(過外転症候群)
そして症状は有名なのですが、手指、腕の痺れ、熱、冷感、脱力感、頚部、肩、肩甲間部、前胸部の疼くような痛み。
標準整形外科より
実際、胸郭出口症候群の施術に至るまでは
①まず胸郭出口症候群以外の可能性を消す
神経学的所見をとり、ラデュキュロ、ミエロ除外する。末梢神経系の疾患除外する(チネルなどで)
②胸郭出口症候群のどれなのか検査する
という手順でやりますが、ここでミスると多分施術の効果って出ないですよね。
胸郭出口症候群決め打ちでみると、先入観で外す場合があるので、しっかり神経学的所見をとって、デルマトームで確かめましょう。
ここからはちょっと詳しく解説します。
①前斜角筋と中斜角筋の間(斜角筋症候群)
線維性骨性トンネル(前斜角筋、中斜角筋、第1肋骨)
これは筋の緊張によって絞扼が起こりやすいもので、イカリ型に多いんですね。
②肋骨と鎖骨の間(肋鎖症候群)
骨性トンネル(鎖骨と第1肋骨)
鎖骨が下制した場合と上肢挙上時に鎖骨が後方に移動した場合に発症しやすい。
③小胸筋下層(過外転症候群)
線維性トンネル(小胸筋、烏口鎖骨靭帯)
小胸筋の緊張、肩外転で絞扼される。
こちらはなで肩に多いとされています。
次は症状を詳しくですが、
1.肩甲帯周囲の放散痛
が出るのは斜角筋症候群で、
肩甲帯に分布する肩甲背神経、肩甲上神経、長胸神経は斜角筋隙と肋鎖間隙の間から分布します。
なので、肋鎖間隙や小胸筋下層では肩甲背神経、肩甲上神経、長胸神経は分布した後なので絞扼されないんですね。
2.冷感の発生機序
ですが、上肢の末梢血管を支配する交感神経は腕神経叢に吻合していて、上肢に分布します。
なので腕神経叢が絞扼されると交感神経も圧迫されることになり、循環障害を生じる原因となるとのことでした。
胸髄の側角から出た交感神経が交感神経節に入り、交感神経節からの線維が腕神経叢に入ってくるので、腕神経叢の圧迫は交感神経の圧迫にも繋がるんですね。
中でも、正中神経と尺骨神経は交感神経線維が多く含まれているそうで、TOSによる冷感は前腕部に生じることが多いそうですね。
なかなか知ってるようで知らない胸郭出口症候群です、、
来週はなで肩、イカリ型のTOSの特徴とアプローチについて書きたいと思います。
ではまた。
参考
運動器疾患の『なぜ?』がわかる臨床解剖学
第12版標準整形外科
神経根症と脊髄症について 頚椎を例に
お疲れ様です。kiteibuです。
神経根症と脊髄症の見分けかたなどを解説していきたいと思います。
神経根症と脊髄症って実際病院に勤めていると結構な頻度で来院されます。
そこの見極め方を書いていきたいと思います。
まず頚椎に関しては、ヘルニアや狭窄症や骨化症で神経根症や脊髄症が発症します。
神経根症とは
変形性関節症やヘルニアに伴い、神経根を圧迫、障害し、radiculopathy(ラディキュロパチー、神経根障害)が起こること
脊髄症とは
変形性関節症やヘルニアに伴い、脊髄を圧迫、障害し、Myelopathy(ミエロパチー、脊髄障害)が起こること
だと思いますが、
脊髄と神経根の図がこちら
デルマトームはこちら
疾患では
神経根症
ヘルニア(外側型)
変形性頚椎症など
脊髄症
変形性頚椎症
ヘルニア(正中型)
同じヘルニアでも出る方向によって、脊髄を圧迫するタイプと神経根を圧迫するタイプがあるということ。
変形性関節症は骨棘の出方がイレギュラーなものもあるので、場合によっては、神経根、脊髄を圧迫する可能性があること。
後縦靭帯骨化症は脊柱管の前方、椎体の後方にある靭帯が骨化するわけなので直接脊髄を圧迫する。
そして大事なのは症状で
(両者が合併していることもある)
神経根症の場合は
スパーリング、ジャクソンテスト
一側性の痛み、痺れ(肩甲帯、上肢)
反射減弱
神経根症では、中枢からの遠心性
脊髄症の場合は
両側性の痛み、痺れ
反射亢進
巧緻動作障害
下肢の痙性
病的反射(上肢 ホフマン トレムナー 下肢 バビンスキー)
がでます。
脊髄症では特に下肢症状と、病的反射、両側性のところが臨床的に大事かなと思います。
脊髄は中枢神経です。
中枢神経は普段から反射を調整しています(出すぎないように)なので中枢神経が障害されると調整出来なくなり反射が亢進します。
特に脊髄症は進行性なので、しっかり見つけてあげることが重要です。
大事なことは、どんな頸部の痛みでも、
MMT、センソリー(感覚)、DTR(深部腱反射)を見ることですかね。
どちらにせよ、接骨院に来院されたら、紹介になると思いますので、正しくジャッジできるように普段の診療から神経学的所見をとりましょう。
ではまた。
肘部管症候群の施術
こんにちは、kiteibuです。
今日は肘部管症候群についてです。
今ちょうど私がみている患者で、肘部管症候群の方がいて、どんなところにアプローチしているか紹介したいと思います。
肘部管症候群とは
(解剖)
尺骨神経は上腕で内側筋間中隔の背側を遠位に走行し、肘関節内側で肘部管と呼ばれる骨と靭帯で形成されるトンネルを通過する。
肘部管は
床 尺骨神経溝(内側上顆後方)
屋根
近位 滑車上肘靭帯
遠位 尺側手根屈筋の上腕頭と尺骨頭で形成されるオズボーン靭帯
(原因)
肘を90°屈曲すると肘部管の圧は約3倍に増加する。
外反肘、OA、ガングリオン
標準整形外科より
実際の絞扼部位は肘部管だけではなく、
①尺側手根屈筋の2頭の間
②肘部管
③内側上顆
④筋間中隔
⑤struthers arcade
あると報告されています。
そしてこの患者は⑤struthers arcadeにチネルを認めました。
struthers arcadeの解剖はこんな感じ
struthers arcadeとはなにかというと
上腕三頭筋内側頭と上腕遠位深筋膜の肥厚部、上腕内側筋間中隔、上腕筋停止部より起始する内側上腕靭帯により構成される伸展性に乏しい筋膜様のトンネルで、このトンネル内を尺骨神経が通過するわけなんですが、上腕三頭筋内側頭の前を尺骨神経が通過しているので、上腕三頭筋内側頭の膨隆で圧迫することがあるそうです。
Struthers’arcade での尺骨神経絞扼により肘内側部痛を 呈した一症例 ~超音波画像診断装置を用いて~
より
なのでこういう症例には、上腕三頭筋内側頭のリラクゼーションが有効と思われました。
実際に患者さんも徐々に痺れ、痛みが軽減しています。筋萎縮はないので、注意してみていきたいと思います。
ではまた。
参考文献
肘部における絞扼性神経障害の解剖学的病態と手術方法の選択
Struthers’arcade での尺骨神経絞扼により肘内側部痛を 呈した一症例 ~超音波画像診断装置を用いて~
標準整形外科
前脛腓靭帯損傷について
お疲れ様でございます。
kiteibuです。
東北は今日16℃ですよ。いや〜寒い
今日は前脛腓靭帯損傷ですが、意外といませんか?
そして結構痛みが長引く印象。
最初に言っておくと、前脛腓靭帯損傷はポイントは腓骨になります。
こちらは柔整の運動学の教科書の図ですが、前脛腓靭帯の位置はこんな感じ
そして柔整の教科書の図ですが腓骨の動きはこんな感じ
なので腓骨は
①背屈 外旋し上方へ
②底屈 内旋し下方へ
ただ論文によっては、必ずしもそうではないなど報告があるようですが、一応教科書的にはこんな感じ。
なので、
①受傷機序を聞いて、底屈での損傷なのか、背屈での損傷なのかを確かめる
②実際に腓骨を底屈した際、背屈した際に腓骨の動きを外旋or内旋アシストして疼痛が軽減、消失するのかどうか確かめる。
③普通の足関節プラス、腓骨をアシストした方向にテーピングを貼る
これは腓骨外旋方向にアシストしてるものになります。
腓骨をしっかり寄せて、前脛腓靭帯を密着させるイメージですかね。
これで結構患者は楽になるんですよね。
前脛腓靭帯損傷は底背屈、腓骨の動きにより、緊張するので足関節自体+腓骨を止めることが治癒を促進する近道ではないでしょうか?
ではまた。
オススメの本 病態把握編
お疲れ様です。kiteibuです
皆様、積み重ねていますでしょうか?
個人的にはですが、1〜3年目くらいは治療技術というよりかは、病態把握の能力をつけることが大事だと思っています。
そこのインフラを整えてから、治療技術を学んだり、手技のセミナーなどに行く方が、施術に落とし込みやすい気がしています。
病態把握 → 病態に合った施術
病態把握が出来ていないと施術もトンチンカンになりますよね。
そこで、私が1〜5年目に見ていた本をご紹介していきます。
まず1つ目
工藤慎太郎
運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学
です。
こちらの本はかなりオススメで、疾患ごとの病態が解剖の説明からかなり詳しく載ってあります。
普段遭遇する疾患ばかりなので、こちらはかなり見ましたね。工藤先生はPTなので治療家目線での解説などもあり、大変勉強になりました。
2つ目
宗田 大
復帰をめざすスポーツ整形外科
です。
これは私のバイブルですね。あの宗田先生が監修している本で、Dr.の論文などをベースに編集してあり、スポーツ外傷の疫学、発生、治療などがかなり詳しく載っています。なんというか、現代のスポーツ医学の常識が網羅されている本だと思います。
分離症(西良先生)、シンスプリント(八木先生)FAI(内田先生)のページはめちゃくちゃ見ましたね。
3つ目
整形外科リハビリテーション学会
関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション 上肢、下肢
これは症例を解剖学的に説明して、実際にどんな治療をしていくのかが書いてある本で、中にはマニアックな症例もあるんですが、後十字靭帯損傷など遭遇することが多い外傷のことも載っています。
リハビリでなかなか成果が出ない時に、ヒントがこれにあるって印象で見ていましたね。
4つ目
宗田 大
膝痛 知る診る治す
これは、1年目にめちゃくちゃ読んでた本ですね。膝蓋下脂肪体のことや膝の見方がほぼ全て載っているのではないでしょうか。
これは、、自分的にエモいやつです。
使い方あってる?
まだあるんですが今日はこれくらいで。
今日紹介した本って病院でみんなで勉強するためにそれぞれ個人でお金払って買った本なんですよね。
病院のスタッフは1人1冊ずつこの本達を持ってるみたいな。当時は結構な出費だったので、ちょっときつかったですけど、多分こういう感じで半強制されなきゃ買ってなかったと思います。
今となっては自分の知識として定着してるので、本当に病院に感謝です。ありがとうございます。
ではまた。
休憩
私の失敗体験
患者に干渉波つけるときに、ボリューム間違えてガチ切れされてしまった
患者に物理療法で火傷を負わせた
コードをしまわずに患者を転倒させた
急性腰痛を悪化させたそしてあとで電話きた
そして院長に謝らせた
人の悪口ばっかり言ってた
治らないのを患者のせいにして嫌われた
色々な人を見下した、仲間からも嫌われた
ほかにもたくさんありますが、テンション下がるので書くのやめます。
結構やばいでしょう。皆さんはどうでしょう?
失敗しても改善して同じミスを犯さないのが大事だと思います。
そうすれば、失敗は経験となってまた成長させてくれるのではないでしょうか。
若いうちの失敗は、上の人達が背負ってくれるもんで、
そして今失敗してるあなたも、いつかは上に立って若手のミスをフォローしてあげてください。
多分病院時代に1番ミスしまくったのは僕じゃないかなって思います。
大事なのは今です。今思い描いてることに集中して生きろ。
患者を治すことに熱中しましょう。
熱中は努力を超える。
誰に届くことを願って。
また来週普通に記事書きます。
ではまた。